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精神科看護ブレイクスルー イメージ1

日精看の学術集会がスタートして40年以上が経ちました。いまの時代に精神科看護の新たな突破口を見いだす取り組みとはどのようなものでしょうか。注目の企画をご紹介します。

教育シンポジウム

教育シンポジウム「激論!身体拘束に頼らない看護を実現する!!」

●趣旨
近年の身体拘束の増加は、精神科医療に限らず、医療・介護・福祉分野全体において解決すべき重要なテーマとなっています。
平成30年度の各制度の報酬改定では、身体拘束を最小化するための取り組みの有無が報酬算定の要件や減算規定に盛り込まれるなど、看護職等に求められる役割が明確化されました。

日本精神科看護協会の「行動制限最小化プロジェクト」(2013年)では、隔離・身体拘束の対象となる患者を、1群「急性期」、2群「高齢者」、3群「慢性・長期入院」と3つに区分して整理しました。
現在、医療・介護・福祉分野全体で課題となっているのは、2群「高齢者」であり、高齢化に伴い、せん妄や転倒リスクの高い患者・利用者の増加と、医療処置に伴う安全管理を要する患者・利用者が増加しています。その傾向は、入院患者の高齢化が進んでいる精神科病院においても同様です。
 
高齢者の入院看護では、転倒防止や治療・処置時の医療安全の観点から、現状ではやむを得ないとあきらめたり、限界を感じたりしている状況が少なくありません。
しかし、病院・施設によっては、看護者等の力で身体拘束を回避したり、最小化を進めたりしているところもあります。
私たち看護者は、医療現場における高齢者等の身体拘束の状況について、看護者の立場から課題を分析し、「やむを得ない」状況をどのように転換することが可能なのか、身体拘束に頼らない看護を実現するために、どのような看護ケアの工夫ができるのかを検討することが重要です。
 
教育シンポジウムでは、身体拘束最小化への組織的取り組み、看護ケアの質の向上や工夫、医療安全管理の視点から、それぞれの立場で活躍されている看護者から身体拘束に頼らない看護の創造について考えます。
 
 
●シンポジスト
嶋森好子(岩手医科大学 看護学部長)

~看護管理の立場から~

患者の安全のための身体拘束廃止へ、看護管理者にできること

 

日本看護科学学会と日本看護管理学会において、計3回(平成27、28、29年)、身体拘束廃止に関する交流会を開催し、認知症高齢者を含む患者の身体拘束廃止に向けた具体的な取り組みについて、参加者とともにディスカッションしました。

その結果、身体拘束廃止の鍵は看護管理者が握っていることが確認されました。
今回は、身体拘束廃止に向けた取り組みを成功させる要因などを紹介し、参加者と考えたいと思います。
 
 
小林美和(愛知医科大学病院 医療安全管理室 看護師長)
~医療安全管理の立場から~
身体拘束によって、患者を守ることはできるのか ――医療安全から患者安全へ
 
患者を目の前にして、本当に身体拘束は「やむを得ない」ことなのでしょうか。
医療や看護を受ける立場である患者の尊厳よりも、医療者側の状況が優先されていることはないでしょうか。
あるいは、医療安全を理由に、身体拘束を容認していることはないでしょうか。
「やむを得ない」身体拘束は、誰を安心させ、何を安全にするのか。
いま一度考えたいと思います。
 
 
大谷須美子(一般財団法人信貴山病院ハートランドしぎさん 副看護部長)
~精神科看護の立場から~
苦悩や葛藤に縛られない!精神科看護だからこそできる変革への思考の転換
 
精神科看護の領域では、長年にわたって行動制限最小化に向けた検討と実践を積み重ねてきました。
私たちも近年の高齢患者の身体拘束の増加という課題を契機として、臨床の第一線で活躍する看護者の工夫・努力をさらに引き出し、精神科看護者としてのアイデンティティを高めるための思考や方策について、参加者と検討していきたいと思います。
 
 
●座長
吉川隆博(東海大学医学部看護学科 准教授/日本精神科看護協会 副会長・教育認定委員長)
金子亜矢子(国家公務員共済組合連合会東京共済病院 精神看護専門看護師、日本精神科看護協会 教育認定委員)

教育セミナー

教育セミナー「情報活用と意思決定支援」

●講師

宮川祥子(慶應義塾大学看護医療学部准教授/専門:健康情報学・災害情報学)

 

健康や医療に関する情報が氾濫しているなかで、情報の質を正しく評価し、そのなかから適切なものを取捨選択し、日ごろの健康増進や医療活動における意思決定に活用していく能力「情報リテラシー」は、医療従事者にとってますます重要になっています。
本セミナーでは、医療・看護における情報とは何か、情報を活用するとはどういうことなのかを問い直すことで、私たちがこれから情報技術とどのようにつきあっていけばよいのかをあらためて考えます。

 

(講師略歴)

一橋大学経済学部卒業、同大学院商学研究科修士課程修了。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程単位取得退学。博士(政策・メディア)、健康情報学修士(テキサス大学)。

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