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日精看の学術集会がスタートして40年以上が経ちました。いまの時代に精神科看護の新たな突破口を見いだす取り組みとはどのようなものでしょうか。注目の企画をご紹介します。

教育シンポジウム

教育シンポジウム「激論!身体拘束に頼らない看護を実現する!!」
6月16日(土)13:45-15:15

●趣旨

近年の入院・入所者における身体拘束の増加は,精神科医療に限らず,医療・介護・福祉分野全体において解決すべき重要なテーマと課題になっている。平成 30 年度の各制度の報酬改定では,身体拘束を最小化するための取り組みの有無が,報酬算定の要件や減算規定に盛り込まれるなど,看護職などに求める役割が制度上において明確化された。
本協会が 2013 年に開催した「行動制限最小化プロジェクト」では,隔離・身体拘束の対象となる患者を,1 群「急性期」, 2 群「高齢者」, 3 群「慢性・長期入院」と 3 つの群に分けて整理している。現在,医療・介護・福祉全体で課題となっているのは, 2 群「高齢者」であることは明白である。
高齢化に伴い,せん妄や転倒リスクの高い患者・利用者の増加と,医療・処置に伴う安全管理を要する患者・利用者が増加している。その傾向は,入院患者の高齢化が進んでいる精神科病院においても同様であり,身体拘束の要因( 2 群について)は共通している部分が多いと考えられる。
高齢者の入院看護では,転倒防止や治療・処置時の医療安全的な観点から,現状ではやむを得ないと諦めたり,どうしようもないと限界を感じたりしている状況が少なくない。しかし,病院・施設によっては,看護者などの力で身体拘束を回避したり,最小化を進めたりしているところもある。
私たち看護者は,医療現場における高齢者などの身体拘束状況について,看護者の立場から課題を分析し,「やむを得ない」という状況を,どのような視点に転換することが可能なのか。身体拘束に頼らない看護を実現するために,どのような看護ケアの工夫ができるのかなど検討することが重要である。
そこで今回は,組織的取り組み,看護ケアの向上・工夫,医療安全管理の視点から,それぞれの立場で活躍されている看護者を話題提供者にお招きし,身体拘束に頼らない看護の創造について考えていきたい。

 

 
 
●シンポジスト
嶋森好子(岩手医科大学 看護学部長)

~看護管理の立場から~

患者の安全のための身体拘束廃止へ、看護管理者にできること

 

日本看護科学学会と日本看護管理学会において、計3回(平成27、28、29年)、身体拘束廃止に関する交流会を開催し、認知症高齢者を含む患者の身体拘束廃止に向けた具体的な取り組みについて、参加者とともにディスカッションしました。

その結果、身体拘束廃止の鍵は看護管理者が握っていることが確認されました。
今回は、身体拘束廃止に向けた取り組みを成功させる要因などを紹介し、参加者と考えたいと思います。
 
 
小林美和(愛知医科大学病院 医療安全管理室 看護師長)
~医療安全管理の立場から~
身体拘束によって、患者を守ることはできるのか ――医療安全から患者安全へ
 
患者を目の前にして、本当に身体拘束は「やむを得ない」ことなのでしょうか。
医療や看護を受ける立場である患者の尊厳よりも、医療者側の状況が優先されていることはないでしょうか。
あるいは、医療安全を理由に、身体拘束を容認していることはないでしょうか。
「やむを得ない」身体拘束は、誰を安心させ、何を安全にするのか。
いま一度考えたいと思います。
 
 
大谷須美子(一般財団法人信貴山病院ハートランドしぎさん 副看護部長)
~精神科看護の立場から~
苦悩や葛藤に縛られない!精神科看護だからこそできる変革への思考の転換
 
精神科看護の領域では、長年にわたって行動制限最小化に向けた検討と実践を積み重ねてきました。
私たちも近年の高齢患者の身体拘束の増加という課題を契機として、臨床の第一線で活躍する看護者の工夫・努力をさらに引き出し、精神科看護者としてのアイデンティティを高めるための思考や方策について、参加者と検討していきたいと思います。
 
 
●座長
吉川隆博(東海大学医学部看護学科 准教授/日本精神科看護協会 副会長・教育認定委員長)
金子亜矢子(国家公務員共済組合連合会東京共済病院 精神看護専門看護師、日本精神科看護協会 教育認定委員)

教育セミナー①

教育セミナー①
情報活用と意思決定支援
6月16日(土)10:10-11:40

●講師

宮川祥子(慶應義塾大学看護医療学部准教授/専門:健康情報学・災害情報学)

 

健康や医療に関する情報が氾濫している中で,情報の質を正しく評価し,その中から適切なものを取捨選択し,日頃の健康増進や医療活動における意思決定に活用していく能力「情報リテラシー」は,医療従事者にとってますます重要になっています。情報技術( IT )の活用はもはや当たり前のことになりつつありますが,ともすれば新しい技術にばかり目が行ってしまい,何のために情報技術を使うのかという真の目的が忘れ去られてしまうこともあります。本講演では,医療・看護における情報とは何か,情報を活用するとはどういうことなのか,を問い直すことで,私たちがこれから情報技術とどのように
付き合っていけばよいのかをあらためて考えます。その上で, AI ・ビッグデータ・ IoT ・デジタルファブリケーションといった最新の情報技術や 5 G と呼ばれる高速データ通信環境をこれからの医療・看護にどのように活用していくことができるのかについて,現在取り組んでいる FabNurse プロジェクトなどの具体的な事例を紹介しながら解説します。

 

(講師略歴)

一橋大学経済学部卒業、同大学院商学研究科修士課程修了。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程単位取得退学。博士(政策・メディア)、健康情報学修士(テキサス大学)。

教育セミナー②

教育セミナー②
発達障がいをもつ児童・青年とのかかわり
―大阪精神医療センターでの経験から
6月17日(土)11:20-12:20

講師

山口 日名子

地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪精神医療センター

 

講師

井上 隆幸

地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪精神医療センター

 

さまざまな困難を抱える子どもや大人が,発達障がい特性や虐待,トラウマという視点からも理解されるようになり,それらをふまえた支援の必要性が認識されつつある。

大阪精神医療センター児童部門の前身である第一種自閉症児施設松心園は, 1970 年から自閉症の診断、療育および被虐待児の治療に取り組んできた。
現在は,①発達障がいの診断初診,②一般初診,③教育・福祉と連携した外来診療,④療育入院,⑤不登校など二次障害の入院治療,⑥被虐待児の入院治療などを行っている。
小児期の逆境体験( ACE )が成人期の健康に深刻な害を及ぼすことが明らかになっているが,われわれは,発達障がいをもつ子どもたちにも, ACE が積み重ならないように早期介入,予防をすることで成人期での不健康を予防できると考えている。
当日の発表では,医師,看護師,それぞれの立場でかかわった経験を提示し,それらが子どもや家族に与えた影響を考察する予定である。

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