こころの健康を通して、だれもが安心して暮らせる社会をつくります。

学術集会ビューポイント イメージ1

基調講演やシンポジウムといったメインの企画について紹介します。今回の学術集会主題は「予測できない未来に備える事業継続計画(BCP)と対策」です。

【学術集会主題】
予測できない未来に備える事業継続計画(BCP)と対策
― 新型コロナウイルス・豪雨災害などを越えて

 1995年、阪神・淡路大震災を経験し、災害時の対応の必要性を痛感した。しかし、東日本大震災では、甚大な被害によりインフラはもとより多数の施設が想定を超える被害に直面し、災害時の対応だけではなく、事業継続計画(以下、BCP)についての必要性が認識された。さらに 2020年は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により、日本においても緊急事態宣言が発令された。そして私たちが従事している精神科病院やグループホームなどでも感染者が確認され、診療所や病院はもとより社会全体で、新しい生活様式の実践や価値観の変化が起きた。

 
 当協会では、行政に対して看護職員の出勤を確保するための保育体制整備、新型コロナウイルスに関連した診療報酬算定要件の柔軟な対応、感染防護具の確保、供給・財政的支援などの要望書を提出した。その成果の一例として訪問看護においてICTを活用した利用者との連絡で時限的算定が認められた。さらに全国の精神科看護者に対して、新型コロナウイルス感染症対応指針の作成、発信・ Web 研修会やオンライン交流会などを開催し、感染防止対策の共有を図った。
 
 以上のように、これまでの災害を通して、われわれは何ができるかを考え、微力ながらも精神科医療に関する支援や情報を発信してきた。今後、蔓延するウイルス感染や災害とウイルス感染の同時発生など非常に困難な状況になることを想定するとともに、未来の脅威に備えて、より具体的で実効性のある BCP の策定も重要であると考える。
 
 本学術集会では、パンデミックも含めた予測できない未来に対して、さまざまな視点からの報告やディスカッションによる情報の共有化を図り、BCP対策について学び、それらが実践につながることを強く期待する。そして今後も、「こころの健康を通して、だれもが安心して暮らせる社会をつくります。」と謳う当協会の活動理念に基づき、精神科医療の継続に関与し、安心して暮らせる社会の維持に貢献していくために、み
なさんと一緒に考え続けたい。

基調講演

基調講演「今から備える精神科病院における災害対策の基本」

◎講師

講師 緑川大介(みどりかわ・だいすけ) 

社会医療法人北斗会ほくとクリニック病院

 

南海トラフ地震防災対策推進地域指定市町村に存在する精神科単科病院の病床数は約14万床と多く、精神科病院において迅速な災害対策の整備が求められている。

院内の災害対策を整備するうえで、まずは地域の危険性、自院の脆弱性、立地、建物、職員の参集可能性、ライフライン、医薬品・食料の供給・備蓄状況などの評価を行う必要がある。

その評価のうえで、

①機能の整備(災害対策マニュアル・BCPの作成。研修・訓練の定期的実施。災害対策委員会の設置)

設備・物品等の整備(脆弱な建物・構造の補強。ライフライン供給停止に対応できる非常用設備の整備)

など具体的な整備を行う必要があり、自院における災害対策を強化する機会となれば幸いである。

 

◎講師略歴
精神科医、 DPAT(災害派遣精神医療チーム)インストラクター。東日本大震災の発災直後より、福島県いわき市に災害派遣、現地のリーダーとして他府県の心のケアチームを統率。ほくとクリニック病院にて精神科救急現場で臨床に従事するかたわら、DPAT事務局に所属し、国の災害精神医療体制の整備やDPAT隊員育成に従事。北関東豪雨災害、熊本地震、大阪北部地震、北海道胆振東部地震時に災害対策本部に災害派遣。

 

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